緑釉平胴孔形鶏冠壷
【時代】 遼 10世紀
【寸法】 高:26.1㎝ 縦×横:17.5×16.4㎝ 重量:1420ℊ
【箱 】 有ります
【来歴】 中国陶磁四千年展出品作
【状態】 口辺にホツ 銀化
【価格】 440,000円(税・送料込み)
【説明】 中国は北方に有る、乾瓦窯で焼成された鶏冠壷です。頭の部分が鶏の鶏冠に似ている為このように呼ばれています。実際は北方遊牧民族が用いた皮袋を模したもので、皮嚢壷(ひのうこ)とも呼ばれています。本来の意味で考えるなら、皮嚢壷と呼ぶ方が正しいかも知れません。
胴や背中の部分には縫い目を表現する隆線が見られます。高台までたっぷりと緑釉が掛けられ、この鶏冠壷が一般的な物と比べてかなり上手であることが分かります。銀化も美しく1000年を越える時間の流れを感じることも出来ます・
写真でも確認できますが、1996年に福井県陶芸館で行われた「中国陶磁四千年展」に出品された現品です。写真に出て来るネームプレートも実際当時使われた物です。
鶏冠壷は一時期に比べかなり安価な物になってしまいましたが、それでもこのクラスの物は中々見ることが出来ない、優品で有ると考えます。
【雑感】 私が古美術の世界で働きだした最初の頃に購入した物の一つです。当時は随分と司馬遼太郎にハマっていて、司馬さんがその名に冠した遼の字が中国の遼と言う国からとっており、その遼の物が近年お求めやすい価格で有る、と言うことを知り少しでも良い品を手に入れてみたいと思っていました。
そんな時出会ったのが越前の陶芸家でした。彼は非常に陶芸家らしい風貌をしており、また非常に陶芸家らしく様々な古陶磁にも精通していました。特に古染付には一角ならぬ博識を持っておられ、大変沢山の事を教えて頂きました。本作はこの方がお持ちのものでした。来歴に名を書くべきか迷いましたが、今回は控えることとしました。
購入してから10年以上経ちますが、その間足元まで全てずぶ掛けの鶏冠壷は見たことがありません。それだけ得がたい物だと考えます。思い出の品では有りますが、そろそろ次のどなたかへと考えています。
遊牧民族独特の大らかな感覚と、それを実現させる確かな技術、本当に素晴らしい一品です。
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